2017/09/14 パワハラで外国人技能実習生がうつ病 労災認定
「建設会社で技能実習生として働いていたカンボジア人の男性がうつ病を発症したのは、職場でのパワーハラスメント(パワハラ)が原因だったとして、所轄の労働基準監督署が労災認定していたことがわかった。」という報道がありました。
男性と男性が加入する労働組合などが、今月12日に記者会見を開き、明らかにしました(労災認定は本年6月7日付け)
会見によると、男性は、平成26年7月に建設会社に入社。複数の日本人の上司から、日常的に「バカ、この野郎」と暴言を受け、時には、胸ぐらをつかまれて押し倒されるといった暴行を受けたこともあったとのことです。そして、平成28年3月にうつ病と診断されました。
労働基準監督署は、上司の言動は業務指導の範囲を超えた人格否定で、うつ病発症の原因になったと判断。労災認定を行いました。外国人技能実習生の精神疾患に対する労災認定は珍しいですが、これは氷山の一角に過ぎないでしょう。類似の事例があっても、言葉の壁もあり、立場の弱い被害者側が泣き寝入りするのが一般的だと容易に想像できます。
・国籍が違っても人格否定はあってはならない。
・立場が弱い者にストレスの捌け口を向けるようなことがあってはならない。
そんな当たり前のことを再認識させられる事案ですね。なお、ハラスメントに着目とすると、厚生労働省の「心理的負荷による精神障害の認定基準」の中で、いじめやセクハラなどに関する基準が示されていることを知っておきたいところです。
たとえば、「ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた場合」は、被害者が受けた心理的負荷の強度が強く、労災認定されることになります。
その例として、
・部下に対する上司の言動が、業務指導の範囲を逸脱しており、その中に人格や人間性を否定するような言動が含まれ、かつ、これが執拗に行われた
・同僚等による多人数が結託しての人格や人間性を否定するような言動が執拗に行われた
などが掲げられています。まさしく、ここで紹介した事案ですね。
心理的負荷による精神障害の認定基準(詳しくは、こちらのパンフレットをご覧ください)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken04/dl/120427.pdf
年金受給の繰下げを70歳以降も可能とすべき 検討を提言
政府は、今月12日に開催された「第5回高齢社会対策の基本的在り方等に関する検討会」の資料を公表しました。
この検討会は、高齢化に対応する社会づくりを議論するための内閣府の有識者検討会です。今回は、これまでの検討事項を取りまとめた報告書の骨子案が示されました。
その中で、年金受給の繰下げ(老齢基礎年金・老齢厚生年金の支給の繰下げ制度)に関する提言もあり、報道機関も取り上げていました。具体的には、次のように書かれています。
『年金受給を70歳まで繰下げることにより最大で42%増の額を受け取ることができる現行制度の利用率が低い。就業促進の観点からも十分な周知が望まれる。また、高齢期にも高い就業意欲が見られる現況を踏まえれば、繰下げを70歳以降も可能とするなど、より使いやすい制度とするための検討を行ってはどうか。』
まだ、報告書の骨子の段階で、70歳以降に繰下げた場合の増額率をどうするかなど、具体的な内容に触れるものではありませんが、今後、検討が進められるかもしれませんね。
詳細は、下記サイトでご確認下さい。
http://www8.cao.go.jp/kourei/kihon-kentoukai/h29/k_5/gijishidai.html
2017/09/15 キッズウィークの実施に向けた学校教育法施行令官報に公布
官報に「学校教育法施行令の一部を改正する政令(平成29年政令第238号)」が公布されました。(今月13日公布)
この改正政令が閣議で決定された際には、次のように紹介されています。(官房長官のコメント)『学校休業日の分散化を促進するため、学校教育法施行令の一部を改正する政令が決定されました。これは、「大人と子供が向き合い休み方改革を進めるための『キッズウィーク』総合推進会議」において示した方針を踏まえたものであります。
これを受けて、今後、政府としては、子供の学校休業日等に合わせた年次有給休暇の取得促進を目的とした、労働時間等設定改善指針の改正、「キッズウィーク」を推進するための、地域ごとの協議会の設置の促進、観光ビジョン推進地方ブロック戦略会議ワーキンググループにおいて、取組状況の確認、課題や好事例等の共有、こうしたことを進めて、引き続き、「キッズウィーク」の実施に向け、しっかり取り組んでまいりたいと思います。』 キッズウィークが定着することになるのか、今後の動向に注目です。
詳細は、下記サイトでご確認下さい。
http://kanpou.npb.go.jp/20170913/20170913h07102/20170913h071020002f.html
2017/09/17 働き方改革 労政審が法案の要綱をおおむね妥当と答申
労働政策審議会は、厚生労働大臣から諮問を受けていた「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」について、各分科会などでの審議の結果、今月15日に答申を行いました。
答申の内容は、「おおむね妥当」というものです。ただし、8本の法律に関連する改正案のうち、労働基準法の改正案の一部について、労働者代表委員からの反対意見が付記されています。結局、労働基準法の改正案のうち、企画業務型裁量労働制の対象業務の拡大と高度プロフェッショナル制度の導入について、連合を中心とする労働者代表委員は、反対の姿勢を崩しませんでした。対象業務の範囲の明確化、健康確保措置の強化といった修正を考慮しても、「長時間労働を助長するおそれがなお払拭されていない」というのが反対の理由です。
この答申を受けて、厚生労働省では、おおむね妥当とされた法律案要綱に沿って、具体的な法律案の作成に取り掛かることになります。政労使の全面合意はなりませんでしたが、秋の臨時国会への法律案提出は実現しそうです。今後の動向に注目です。
詳細は、下記サイトでご確認下さい。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177380.html
※法律案要綱のポイントが示されています。その後に、「労働政策審議会答申」、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱(全文)」などが紹介されています。
2017/09/20 新卒 高卒で40%以上、大卒で30%以上が3年以内に離職
厚生労働省から、今月15日、「新規学卒就職者の離職状況(平成26年3月卒業者の状況)」が公表されました。
これは、平成26年3月に卒業した新規学卒就職者の就職後3年以内の離職状況について取りまとめられたもので、今回の取りまとめにより、新規高卒就職者の40%以上、新規大卒就職者の30%以上が、就職後3年以内に離職していることが分かりました。
厚生労働省では、新卒応援ハローワーク等における相談・支援の他、昨年9月から、こうした方々を含めた求職者が、気軽に就職や転職の 質問・相談ができるよう、 平日の夜間と土日に、 電話とメールで利用できる無料の相談窓口「おしごとアドバイザー」 を開設しているとのことです。
詳細は、下記サイトでご確認下さい。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553.html
2017/09/25 夏のボーナス平均妥結額は微減も4年連続で80万円台の水準
厚生労働省から、今月15日、「平成29年民間主要企業夏季一時金妥結状況」が公表されました。
民間主要企業の夏季一時金について、
・平均妥結額は、前年に比べ18,427円(2.18%)減少し、「825,150円」。
・前年よりは減少したものの、4年連続で80万円台の水準となっています。
詳細は、下記サイトでご確認下さい。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177091.html
2017/10/01 新卒内定者 24事業所で86人が内定取消し うち5事業所の事業所名を公表
厚生労働省から、今月15日、「平成28年度新卒者内定取消し状況」が公表されました。
これは、今年3月に大学や高校などを卒業して4月に就職予定だった人のうち、内定を取り消されたり、入職(入社)時期が延期(繰下げ)となったりした人の状況を取りまとめたものです(本年8月末現在の状況)。今回の公表に当たっては、内定を取り消した事業所のうち、5事業所について、事業所名が公表されています。
新規学卒者を雇い入れようとする会社は、内定の取消しや入職時期の繰下げを行う場合には、ハローワークに通知する必要があり、今回の取りまとめはそれら通知内容が集計されたものです。
その結果、平成28年度に内定取消しとなった学生・生徒数は86人(24事業所)だったとのことです。業所名の公表は、内定取消しが「事業活動縮小を余儀なくされているとは明らかに認められない」などの場合に、求職活動をする学生の適切な職業選択に役立つよう、厚生労働大臣が実施できることになっており、平成28年度の内定取消しについては、5事業所がその対象になっています。
詳細は、下記サイトでご確認下さい。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177604.html
2017/01/17 医師の働き方改革 緊急的な取組の骨子案を提示
厚生労働省から、平成30年1月15日に開催された「第6回医師の働き方改革に関する検討会」の資料が公表されました。
今回の検討会では、中間論点の整理の骨子案のほか、「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」の骨子案が提示されました。
緊急的な取組の骨子案では、医師の労働時間の実態把握をした上で、労使協定(三六協定)の順守を徹底するよう医療機関に求めることとされています。また、採血や注射、薬の説明や尿道カテーテルの留置、カルテの代行入力などについて、医師以外の職種への業務移管を推進することとされています。
政府が、平成29年3月にまとめた「働き方改革実行計画」では、時間外労働を罰則付きで規制する方針が示されましたが、応召義務があり、患者の急変などに対応が必要な医師については、5年間の猶予期間が設けられています。同検討会では、今後、この「応召義務」などについても議論し、平成30年度末までに最終報告を取りまとめることとされています。
詳しくは、こちらをご覧ください。民間企業においても応用できる取組みがあると思います。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000191032.html