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2017/03/09 労基署業務の民間委託、社労士が候補 規制改革推進会議で検討

 「政府の規制改革推進会議において、企業への立入検査をする労働基準監督署の業務の一部を、民間委託することを検討する」という報道がありました。

 この報道によりますと、各地の労働基準監督署は人手不足で監督の目が行き届いていないとの指摘があることから、民間委託の話が持ち上がったようです。委託先には、社会保険労務士(社会保険労務士の資格を有する者を雇用する民間事業者)を想定しているとのことです。

しかし、民間人には任意の立入検査を拒否する事業所に強制的に立ち入る権限がないため実効性に乏しいなどとし、厚生労働省は難色を示しているといるということです。取り締まり業務の民間委託といえば、違法駐車の取り締まりを民間の駐車監視員に委託した例がありますが、違法な長時間労働や割増賃金の未払いなどの取り締まりとなると、そう簡単に外部の民間人が関与できないということは想像できますね。問題点は多々あると思いますが、今月9日に開催される規制改革推進会議で検討に着手する予定とのことです。会議の資料などが公表されましたら、紹介させていただきます。

 地方公共団体の非常勤職員にボーナス 改正法案を国会に提出

3月7日、総務省は、「地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律案」を国会に提出しました。
  
この法案、地方公共団体で事務補助などに従事する「一般職非常勤」の職員などの任用制度を整備するものです。その中に、そのような非常勤職員にも期末手当(ボーナス)を支給できるようにする内容も盛り込まれています。法案が予定通り成立すれば、平成32年度から実施されます。

 「同一労働同一賃金」が重要な政策とされる中、民間企業に先立って、地方公共団体が見本を示すということでしょう。

詳細は、下記サイトでご確認下さい。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000470733.pdf


 遺族年金の男女差をめぐる訴訟 近く判決

 業務災害で死亡した場合に一定の遺族に支給される遺族補償年金について、妻は年齢を問われないのに夫は55歳以上に制限している地方公務員災害補償法の規定が、法の下の平等を定めた憲法に違反するかどうかが争われた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷が、判決を今月21日に言い渡すことを決めたとの報道がありました。

頭弁論を開かずに判決日が指定されたため、「合憲」と認めた二審が維持される見通しとのことです。
 
この訴訟、1998年に市立中学校の教諭だった妻を亡くした当時51歳の男性が、遺族補償年金の不支給決定の取り消しを求めて提訴。遺族の範囲などを定めた地方公務員災害補償法の規定について、一審では「違憲(不支給決定は無効)」、二審では「合憲(不支給決定は有効)」と、判決が覆ったという経緯があります。

同様の規定がある他の制度(労災保険など)のあり方にも影響を与えることから、厚生労働省なども注目していた訴訟ですが、ようやく最高裁の判決が下されることになりそうです。合憲で決着する公算が高いとのことで、直ちに遺族の範囲が見直されるということはなさそうです。

 しかし、「共働き世帯が一般的な家庭モデルとなっている今日においては、配偶者の性別で受給権の有無を分けるような差別的取り扱いは合理性がない」という一審での指摘も、説得力があるように思えます。裁判は終わりそうですが、近い将来、見直しに向けた議論が行われるかもしれませんね。

参考までに、現行の規定を紹介しておきます。

 〔参考〕
民間企業に置き換えると、労働者の死亡時に遺族に対して行われる保険給付として、「労災保険の遺族(補償)年金/業務災害・通勤災害の場合」、「厚生年金保険の遺族厚生年金/死亡の事由を問わない」が設けられています(重複する場合は労災保険の方を減額支給)。その支給を受けることができる遺族の範囲は法律で決められていますが、いずれについても、夫婦間に限ってみれば、男女差があります。

□労災保険:遺族(補償)年金
・夫が死亡、妻が遺族→夫の死亡当時の妻の年齢を問わず支給。
・妻が死亡、夫が遺族→妻の死亡の当時、夫の年齢が60歳以上であれば支給(当分の間、55歳以上であれば支給〔60歳までは支給停止〕)。

□厚生年金保険:遺族厚生年金
・夫が死亡、妻が遺族→夫の死亡当時の妻の年齢を問わず支給。
・妻が死亡、夫が遺族→妻の死亡の当時、夫の年齢が55歳以上であれば支給〔原則、60歳までは支給停止〕。
 (注)遺族が障害状態にある場合のこと、遺族の年収が高い場合のことなどは、考慮していません。また、厚生年金保険の一階部分である国民年金の遺族基礎年金のことは省略させていただきました。

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