厚生労働省は、今月26日、全国の事業場から労働基準監督署に報告のあった、労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度について、その実施状況をはじめて取りまとめ、公表しました。
〔確認〕ストレスチェック制度とは、職場におけるメンタルヘルス不調を未然に防止することを目的に、常時50人以上の労働者を使用する事業場に対し、平成27年12月から年1回のストレスチェックとその結果に基づく面接指導などの実施を義務付けているものです。ストレスチェック制度の実施が義務付けられている事業場については、実施結果を所轄の労働基準監督署に報告する義務もあり、その報告を取りまとめたのが、この実施状況です。
<ストレスチェック制度の実施状況の概要〔平成29年6月末現在〕>
・ ストレスチェック制度の実施義務対象事業場のうち、82.9%の事業場がストレスチェック制度を実施。
・ ストレスチェック実施事業場の労働者のうち、ストレスチェックを受けた労働者の割合は78.0%。
・ ストレスチェックを受けた労働者のうち、医師による面接指導を受けた労働者の割合は0.6%。
・ ストレスチェックを実施した事業場のうち、78.3%の事業場が集団分析を実施。
厚生労働省は、今後も、労働局・労働基準監督署において、ストレスチェック制度の実施徹底を指導するとともに、小規模事業場を含めたメンタルヘルス対策を推進するため、ポータルサイト「こころの耳」を通じた企業の取組事例の提供、産業保健総合支援センターによる教育・研修の実施、企業の取組に対する助成金といった各種支援事業の充実を図っていくとのことです。
詳しくは、こちらをご覧ください。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000172107.html
マタハラで厳重注意 妊娠者に非常勤を勧める
「ある地方独立行政法人の病院機構が運営する急性期・総合医療センターで、採用予定の女性医師にマタニティー・ハラスメント(マタハラ)をしたとして、小児科の女性部長がセンターから厳重注意を受けたことが、25日わかった」という報道がありました。
センターによると、今春から勤務予定だった女性医師が2月、メールで妊娠したことを部長に報告。その際、部長はメールで「マタハラになるかもしれないが」とした上で、「病院に全く貢献することなく、産休・育休を取るのは周りのモチベーションを落とす。非常勤で働くのはどうか」などと返信したということです。女性医師が3月上旬にセンターに相談。センターは部長の対応をマタハラと認定し、厳重注意したとのことです。
マタハラの防止については、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法(各々の通達を含む。)によって、妊娠・出産、育児休業の取得等を理由とする降格・退職などの不利益取扱いが認められないことはもちろん、その防止措置を講ずることが各企業に義務付けられています。
今回の事例は、被害者が「採用予定の女性」ですから、厳密に考えると、男女雇用機会均等法などが適用されるのか否かは微妙なところかもしれませんが、センターの判断で、加害者である部長を厳重注意したというものですね。
加害者である部長の真意は分かりませんが、マタハラの防止に対する意識がもう少し高かったら、別の対応をとれたかもしれませんね。相談窓口は機能していたようですが、このように報道されるというのは皮肉なめぐりあわせですね。
ご参考までに、下記のパンフレットを紹介しておきます。ご確認ください。http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000137179.pdf