厚生労働省は、今月29日にとりまとめられた「厚生労働業務改革・働き方改革加速化チーム中間とりまとめについて」を公表しました。
これは、「働き方改革」が進められるなか、「先ず隗より始めよ」の精神で、「厚生労働省業務改革・働き方改革加速化チーム」(本年1月設置)において、厚生労働省内の業務改革・働き方改革の加速化策を検討し、とりまとめたものです。
その中で、今後の具体的な取組みの一つとして、年1回午後8時に全館強制消灯を実施することも含まれており、そのことが、各種の報道機関でも取り上げられています。その他、テレワークやフレックスタイム(時差勤務)などの利用を後押しする「柔軟な働き方支援員(仮称)」を人事課に配置し、労働時間の短縮を目指すなどの取組みを実施していくとのことです。
生産性向上の概念も取り入れてまとめたということで、先進的な好事例となることが期待されます。
詳細は、下記サイトでご確認下さい。
http://www.mhlw.go.jp/topics/2017/05/tp0529-1.html
厚労省 解雇の金銭解決制度について報告書 労政審でさらに検討へ
厚生労働省は、今月29日に開催された「第20回透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会」における資料を公表しました。
今回も、報告書のとりまとめが進められました。注目は、「解雇の金銭解決制度(解雇無効時における金銭救済制度)」ですが、この制度の導入の是非については「一定程度必要性が認められる」とし、「労働政策審議会(厚生労働大臣の諮問機関)」で本格的に検討するように提案しています。
厚生労働省は、今後も検討を進め、年内には労働政策審議会での法改正の議論などを始めたい考えのようです。
しかし、この件について、労働者側のトップといえる連合は、「不当な解雇を拡大しかねない」として、同日、菅義偉官房長官に制度を導入しないよう求める要望書を提出するといった動きも見せているようで、制度導入の先行きは不透明といえそうです。
今回の検討会の資料は、こちらです。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000166107.html
逆転で労災認定 運転手の待機時間を労働時間と認める
「ある都道府県労働局が、勤務中に長時間の待機を求められ心筋梗塞で死亡した男性運転手について、労災を認めなかった労働基準監督署の決定を取り消し、逆転認定したことが分かった」という報道がありました。
今月26日に、NPO法人である労災職業病センターが記者会見を行ったことにより明らかになったようです。
労働基準監督署は、男性の残業について、基準となる過労死ライン(単月100時間など)は下回ると判断し、労災と認定しなかったのですが、これを不服とした遺族が審査請求。都道府県労働局は、これを受けて再検証し、労働基準監督署が残業と認定しなかった待機時間を残業と認め、1カ月間に過労死ラインを上回る133時間程度の残業があったと判断。労働基準監督署の決定を取り消し、労災認定したとのことです。
具体的な状況にもよりますが、待機時間も 、 使用者の指揮命令下に置かれていると評価される場合には労働時間として取り扱うこととされています。
「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(厚労省)」においても、“労働時間として取り扱わなければならない”ものとして、次の時間を取り上げています。
使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機等している時間(いわゆる「手待時間」)
各企業においても、待機時間等の手待時間の取り扱いには注意が必要ですね。
確認までに、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を紹介しておきます。
労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/dl/151106-04.pdf