大手流通グループの関連会社(警備業)の男性社員が宿直の仮眠は労働時間にあたるなどとして、未払い残業代などの支払いを求めた訴訟の判決が今月17日、地方裁判所あり、裁判長が未払い残業代と付加金の計約180万円を支払うよう同社に命じた」という報道がありました。
男性は「仮眠時間でも制服を脱がず、異常があった際はすぐに対応できる状態を保ったままの仮眠で、業務から解放されなかった」と主張。裁判長は「仮眠時間や休憩時間も労働から解放されているとは言えない」と指摘し、労働時間と認められる時間分の未払い残業代などの支払いを会社に命じたようです。
なお、男性は、残業代支払いを求めた後に出された別の部署への異動命令についても、不当な配置転換だなどとして慰謝料の支払いを求めていていましたが、裁判長は、「異動は業務上必要があったと認められる」として、この請求については棄却したとのことです。
仮眠時間が労働時間に当たるかどうかについては、有名な最高裁の判例があります。それにより、「労働者が実作業に従事していない仮眠時間であっても、労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価される場合には、労働からの解放が保障されているとはいえず、労働者は使用者の指揮命令下に置かれているものであって、労働基準法32条の労働時間に当たる。」と判示されています。
会社側が過去の判例を参考にしていれば、労働時間の管理・残業代の支払いもきちっと行われていたかもしれませんね。
〔参考〕類似の最高裁判例/大星ビル管理事件(平成14年2月28日)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52614