ある県のハローワークにおいて、同県の最低賃金(時給716円)を下回る額を提示した求人票を求職者に紹介していたことが、今月13日、分かった」という報道がありました。
この額での応募者はいなかったようですが、この県の労働局は求人票を訂正し、県内の全ハローワークに再発防止を指示したとのことです。
問題となったのは、ある住宅建設販売会社が、今年1月に提出した求人票。基本給の下限額が12万2,283円となっていたということで、同社の雇用条件となっている月平均労働日数(21日)や1日8.25時間の就業時間を基に時給を算出すると、「705.8円(≒12万2,283円÷[21×8.25])」となり、現行の最低賃金716円を下回っていました。
同社は1月に改めて求人を申し込む際に、最低賃金の改定を失念して、昨年5月と同様の条件を希望し、それがそのままになっていたとのことです。昨年5月時点では、当時の同県の最低賃金695円を上回っていたため問題はありませんでした。
ハローワークに求人票を提出して求人をする場合、ハローワークの側でもチェックするようですが、求人をする会社側のチェックが必要です。
最低賃金については、次のようなチェックが必要となります。
・月給であれば、基本給を時給換算して最低賃金と比較する必要がある(その際、通勤手当など算入してはならない賃金がある)。
・地域別最低賃金は、基本的に毎年10月頃に改定されるため、改定時にはチェックが必要。
・業種によっては、特定最低賃金(産業別最低賃金)も設定されており、そのチェックが必要となる場合もある。
しかし、法律のルールを守らなければならないことはもちろんのこと、人手不足が叫ばれる中で、最低賃金割れの求人への応募というのも難しいものがあるといえそうです。そうした意味でも会社として、時折チェックする必要がありますね。
参考までに、厚生労働省のパンフレットをご紹介
最低賃金制度パンフレット(最低賃金、しっかりチェックゥーッ!!
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/H28_saiteichinginpamphlet.pdf
厚労省 メンタルヘルス対策の推進について通達を公表
厚生労働省は、今月14日、『「過労死等ゼロ」緊急対策を踏まえたメンタルヘルス対策の推進について(平成29年基発0331第78号)』という通達を公表しました。
昨年の暮れに、「過労死等ゼロ」緊急対策を講ずることとされ、違法な長時間労働を許さない取組の強化などと合わせて、平成29年度から「メンタルヘルス・パワハラ防止対策のための取組の強化」も図ることとされていました。
これを踏まえて発出されたのが、この通達です。この通達には、緊急対策による取組が示されています。
<取組の概要>
精神障害に関する労災請求・支給決定件数は増加傾向にあり、また、大企業においても過労による自殺事案が繰り返し発生するなど、過労死等の防止に対する社会的要請はかつてなく高まっている。このような問題意識のもと、今般とりまとめられた緊急対策を踏まえ、メンタルヘルス対策については、以下の取組を実施することとする。
(1)精神障害に関する労災支給決定が行われた事業場及び企業の本社事業場に対するメンタルヘルス対策の特別指導の実施
(2)違法な長時間労働が認められる等の事業場に対するメンタルヘルス対策の指導の充実
(3)パワーハラスメントの予防・解決に向けた周知啓発の徹底
(4)長時間労働等によりハイリスクな状況にある労働者を見逃さない取組の徹底
各取組の詳細については、こちらをご覧ください。
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T170414K0030.pdf
参考までに、推進通達及び指導公表通達も紹介しておきます。
推進通達:「ストレスチェック制度の施行を踏まえた当面のメンタルヘルス対策の推進について(平成28年基発0401第72号)」
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/cgi-bin/t_docframe.cgi?MODE=tsuchi&DMODE=CONTENTS&SMODE=NORMAL&KEYWORD=&EFSNO=10307
指導公表通達:「違法な長時間労働や過労死等が複数の事業場で認められた企業の経営トップに対する都道府県労働局長等による指導の実施及び企業名の公表について(平成29年基発0120第1号)」
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/dl/151106-05.pdf