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2017/03/30 分社後1年余りで解雇 地裁で無効判決

 転籍先の子会社が分社化から1年余りで解散し解雇となった元従業員が、会社に社員としての地位確認などを求めた訴訟について、今月28日、地方裁判所が転籍を無効とする判決を言い渡したという報道がありました。

会社分割に伴う転籍については、平成22年に最高裁判所で判決があり、「事前協議の内容が著しく不十分な場合には無効」などとする基準が示されており、今回の判決は、その基準に従った形になっています。

会社分割に当たっては、社員の労働契約の承継の問題が生じます。簡単にいうと、会社分割で設立された子会社などに社員を転籍させる場合、その社員に対し、十分な説明・事前協議をしておかないと、転籍が無効とされる(労働契約の承継の効力が生じない)ということになります。

平成22年の最高裁判例(いわゆる「日本IBM会社分割事件」)は、こちらをご覧ください。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=80428


 破産で採用内定取消し 厚労省が緊急対応

ある格安海外旅行会社が、100億円を超える債務超過で破産手続き開始決定を受けたという話題が報道各社によって取り上げられました。旅行先でホテルが手配されていない、支払った旅行代金は返金は戻ってこないなど、顧客の被害が多々報道されています。  

加えて、その会社に就職が内定していたのに取り消された方のことも報道されています。  これを受けて、厚生労働省は、今月29日、同社にこの春入社予定で内定を取り消された方を対象に、東京と大阪の「新卒応援ハローワーク」内に緊急の特別相談窓口を設けたとのことです。この時期に大量の内定取り消しが発生することは異例のことなので、緊急対応したようです。 

厚労省の相談窓口設置のお知らせはこちらです。 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158156.html    

採用内定の取消しについては、一般的に解雇と同じ基準で判断され、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当であると認められない場合は無効とされます。  やむを得ない事情により採用内定の取消しや入職(入社)時期の繰り下げを行うときは、新卒予定者の就職先の確保に最大限努力するとともに、該当者からの補償などの要求に誠意を持って対応することとされています。 

今回の件は、破産ということなので、厚生労働省が救済に動いたといったところでしょう。 
この件は、特殊な事例といえますが、新卒者などを採用する場合、簡単に内定の取消しをすることはできないことは知っておきたいところです。そのことを含め、基本的な新卒者の採用のルールがまとめられたリーフレットがありますので、紹介しておきます。
 
新規学校卒業者を採用する際は労働関係法令の規定などを確認してください
 http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000098792.pdf  

なお、今、国会に法案が提出されいる「雇用保険法等の一部改正法案」に、職業安定法の改正も含まれており、「ハローワークや職業紹介事業者等の全ての求人を対象(※)として、一定の労働関係法令違反を繰り返す求人者等の求人を受理しないことを可能とする」という内容が盛り込まれています。 

※現行では、ハローワークにおける新卒者の求人のみが対象で、実施までに少し期間を置く模様です。

 

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