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2016/11/10 定年後の再雇用,賃金減額は不合理でない原告が逆転敗訴

  定年後に再雇用されたトラックの運転手が「正社員と同じ仕事なのに賃金に差があるのは違法だ」と訴えた裁判で、東京高等裁判所は「2割前後の賃金の減額は不合理ではない」として、原告が勝訴した1審の判決を取り消し、訴えを退けました。

横浜市に本社がある長澤運輸を定年退職したあと、嘱託社員として再雇用されたトラックの運転手の男性3人は「正社員と同じ仕事なのに賃金に差があるのは違法だ」として会社を訴えました。裁判では、正社員との格差が、法律で禁止された不合理なものと言えるかどうかが争われ、1審の東京地方裁判所は「財務状況などを見ても正社員と格差を設ける特段の事情はない」として同じ賃金の支払いを命じ、会社が控訴していました。

 2審の判決で、東京高等裁判所の杉原則彦裁判長は「同じ仕事でも一定程度の賃金の減額は社会的に容認されていて、企業が若年層を含む雇用を確保する必要性などを考慮すると、減額は一定の合理性がある」と指摘しました。そのうえで、「賃金の引き下げ幅は、年収ベースで2割前後と同規模の他社を下回っていて、直ちに不合理とは認められない」として、1審の判決を取り消し、原告の訴えを退けました。

 原告側は会見し、「格差や差別を正すために訴えたのに、現状を追認する判決に強い憤りを覚える」と述べ、上告する考えを示しました。

一審では、定年後の再雇用において、労働契約法20条が適用されると判断しましたが、そもそも、再雇用において、労働契約法20条が適用されるとかどうか、問題点の多い判決とされていますがた、やはり是正されました。企業は、定年後嘱託社員と正社員の職務内容(業務内容・責任の程度)を出来るだけ、明確にしておく必要があります。

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