マイナンバー制度の利用範囲を金融や医療などの分野に広げることを目的とした改正マイナンバー法が、3日の衆議院本会議で可決され、成立しました。
マイナンバー制度が来年1月にスタートすれば、行政機関は、自治体や税務署などに分散している所得や年金、社会保険などの個人情報を、国民一人一人に割り振った12桁の番号を使って照会しやすくなり、行政手続きを効率化したり、脱税などの不正行為を防いだりする効果が期待されています。
改正法は、マイナンバー制度の運用が来年1月から始まるのを前に、制度の利用範囲を金融や医療などの分野に広げることなどを目的としています。この改正法は、日本年金機構のシステムから大量の個人情報が流出した問題を受け、機構がマイナンバーを扱う時期を遅らせるなどの修正を参議院で加えて可決されたことから、衆議院に戻されていました。そして、3日の衆議院本会議で、自民・公明両党と民主党、維新の党などの賛成多数で可決され、成立しました。
改正法の成立により、金融機関は2018年1月から、預金者の同意があれば、口座番号とマイナンバーを結びつける「ひも付け」ができます。これにより、政府は個人の所得だけでなく、預金などの金融資産情報を管理することになるため、複数の口座を持つ人の預金残高を把握し、お金の流れが詳細に分かれば、脱税や年金の不正受給の防止につなげることができます。
また、来年1月からは特定健診(メタボ健診)の履歴、2017年からは予防接種の履歴にもマイナンバーを結びつけ、引っ越しや転職をしても別の自治体や企業に情報を引き継ぎやすくし、健康に関わる情報を管理することで、生活習慣病の予防や、医療費の無駄づかいを防ぐ効果なども期待しています。
同時に、衆議院本会議では、ビッグデータを活用してビジネスチャンスの拡大を図ることを目的とし、個人情報を特定されないように加工すれば本人の同意がなくても事業者が情報を第三者に提供できるようにすることなどを盛り込んだ改正個人情報保護法も可決され、成立しました。行政の効率化や利便性向上が期待される一方、個人情報の管理の徹底が課題となります。