全国に展開する靴の販売店、ABCマートが従業員に違法な長時間労働をさせていたとして、東京労働局過重労働撲滅特別対策班、通称「かとく」は2日、労働基準法違反容疑で法人としての同社と、労務担当取締役、店舗責任者2人の計3人を東京地検に書類送検しました。「かとく」は、いわゆるブラック企業対策の強化のため、今年東京労働局と大阪労働局に2か所で4月に新たに発足した組織で、影響力の大きい大企業に絞って調査を進めていますが、送検を行うのは今回が初めてです。
東京労働局によりますと、同社は昨年4~5月、都内の「Grand Stage池袋店」と「ABC―MART原宿店」で従業員計4人に対し、労使協定で定めた上限(月79時間)や法定労働時間を超える月97~112時間の残業をさせていた疑いがあるということです。いずれのケースも時間外賃金は適正に支払われていました。
同社は過去にも複数の店舗で長時間残業が横行しているとして是正勧告を受けていましたが、改善が進んでいないということで、今回「かとく」は書類送検に踏み切りました。 同社の就業規則では、社員が早番と遅番のシフト制で勤務することが盛り込まれていましたが、実際には、複数の店舗で、2014年夏ごろまで、社員の多くが朝から夜まで働いているなど、シフト制が形骸化していたということです。
所得税の抜本改革に政府税調始動、負担軽減や配偶者控除の見直しなど
政府は2日、首相の諮問機関である政府税制調査会(会長・中里実東大教授)を開き、所得税の改革に向けた総点検に着手しました。非正規雇用者や共働き世帯の増加など経済社会構造の変化に対応し、安倍政権が成長の担い手と位置付ける若い世代の負担を軽減します。また働く女性を増やし、子育て世帯を支援するため、税負担を軽くする制度などを根本から見直します。
前回の所得税の抜本改革は1995年、消費税率5%への引き上げに先行して負担軽減策を打ち出しました。それから20年たった今回は、若い世代や子育て世帯に目配りし、基礎控除の見直しなどを検討する見通しです。女性の働き方を制約し、“女性の働く意欲をそいでいる”と指摘される「配偶者控除」も含まれます。来年夏に改革案の中期答申を提出し、政府は早ければ2017年度税制改正に答申の内容を反映させる考えです。
最低賃金引き上げ額 審議始まる
最低賃金の引き上げ額について労使の代表が話し合う中央最低賃金審議会の初会合が7月1日、厚生労働省で開かれました。7月末を目標に今年度の最低賃金の目安を決め、10月ごろから適用されます。
現在の全国平均は時給780円。13年度は15円、14年度は16円引き上げました。今年は経営者側が3年連続で10円を超える大幅な引き上げを認めるかが焦点となっています。