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2015/03/30 賃金の男女差別で会社に賠償判決 金沢地裁

 金沢に本社を置く機械器具設置工事会社に勤めていた県内の女性が、女性であることを理由に男性との間に賃金格差があったとして、会社に対し損害賠償を求めていた裁判で、金沢地裁は26日、会社の男女差別を認め、賃金の男女差別を禁じた労働基準法に反するとして、約440万円の支払いを命じました。

この裁判は金沢市内に本社を置く機械器具設置工事会社の富山市内の事業所に勤務していた富山市の60代の女性が「男性と同じ仕事内容にもかかわらず、賃金や退職金に格差があるのは男女差別」として会社に対し、約2,200万円の損害賠償を求めていたものです。

 訴状などによりますと、会社は2002年に総合職と一般職に分ける賃金体系が異なる雇用制度を設け、7人いた設計部で唯一の女性の原告だけを一般職にしたということです。女性が2012年1月に定年退職するまで、同部署の男性社員と対等な賃金待遇を認めてもらえず、賃金は月55,000円の差がありました。

 金沢地裁の藤田昌宏裁判長は、賃金体系が異なる会社の雇用制度について、「総合職と一般職の区別は男女の区別すなわち性別の観点によってされている」と指摘しました。その上で、会社側が賃金の格差は「女性の業務遂行能力の低さを原因」とする主張に対しては「女性の能力がどの程度であるかが検討されたことを示す証拠はない」として、時効が成立していない過去3年分の賃金差額などを認め、会社側に約440万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。


 「短時間労働者対策基本方針」を策定 厚生労働省 厚生労働省が26日、平成27年度から平成31年度までの5年間に取り組むべき、短時間労働者(パートタイム労働者)の雇用管理の改善などの促進や職業能力の開発・向上などに関する施策の基本となる「短時間労働者対策基本方針※」を策定し、公表しました。

 少子高齢化や労働力人口の減少が進む中、全員参加による社会を実現するためには、就労を希望する人がそれぞれのライフスタイルに応じた働き方を通じて、能力を発揮することができるよう、多様な働き方を実現するための環境整備を社会全体で進めることが重要として、「短時間労働者対策基本方針」では、短時間労働者の均等・均衡待遇の確保や通常の労働者(正社員)への転換などの取組を一層推進することなどを掲げています。厚生労働省は、この基本方針に沿って、今後の短時間労働者に関する施策に取り組んでいくとしています。

※短時間労働者対策基本方針とは
 短時間労働者の雇用管理の改善などに関する法律(パートタイム労働法)第5条の規定に基づき、短時間労働者の福祉の増進を図るため、短時間労働者の雇用管理の改善などの促進や、職業能力の開発・向上などに関する施策の基本となるべき方針を定めるものです。

短時間労働者対策基本方針のポイント
【短時間労働者の現状】
 1.短時間労働者数は増加傾向で、基幹的役割を担う人も増加。
 2.通常の労働者(正社員)と短時間労働者(パートタイム労働者)の待遇は異なる。
 3.ワーク・ライフ・バランスを実現しやすい働き方である一方、正社員としての就職機会を得られず、やむを得ず選択する人も存在。

 【短時間労働者をめぐる課題】
 1.待遇が働き・貢献に見合っていない場合があるため、通常の労働者との均等・均衡待遇の一層の確保が必要。
 2.労働条件が不明確になりやすく、通常の労働者と待遇が異なる理由が分からない場合もあるため、短時間労働者の納得性の向上が必要。
 3.希望する人に通常の労働者への転換の機会が与えられること、希望に応じてキャリアアップが図られることが必要。

 【施策の方向性・具体的施策】
 <均等・均衡待遇の確保や通常の労働者への転換などのための取組を一層推進>

1.均等・均衡待遇の確保、納得性の向上
○「パート労働ポータルサイト」などによる法律や相談窓口設置義務の新規規定などの積極的な周知
○「短時間労働者の待遇の原則」に沿った雇用管理の改善促進、労使の取組・裁判例の動向などの情報収集
○的確な行政指導の実施による法の履行確保
○雇用管理改善などに積極的に取り組む事業主を社会的に評価するための取組の推進など

2.短時間労働者の希望に応じた通常の労働者への転換・キャリアアップの推進
○通常の労働者への転換を推進する措置義務の履行確保
○短時間正社員など「多様な正社員」の普及など

3.労働者に適用される基本的な法令の履行確保

詳しくは下記サイトで確認できます。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000078777.html

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