事故で脊髄を損傷して労災認定された後、敗血症で死亡した大阪府の男性について、労働保険審査会が労災と死因との因果関係を認め、遺族補償年金の支給を認めなかった大阪北労働基準監督署の処分を取り消す裁決を出していたことが5月13日、判明しました。
事故に起因する感染症で死亡したにも関わらず、労働基準監督署が労災と死因の因果関係が不透明とのことで労災補償を打ち切ったのは不当であるとして、配偶者が求めた不服審査について、労働保険審査会が労災と死因の因果関係を認め、打ち切り処分の取り消しを決定したことが分かりました。患者団体によりますと、脊髄損傷の患者の補償打ち切りに関して、労働保険審査会で処分取り消しの決定が出るのは珍しいといいます。
電気工事会社社員だった男性は1983年に電柱から落下して脊髄などを損傷し、下半身麻痺で労災認定されていました。その後、男性は病床で皮膚や皮下組織が死滅する褥瘡(じょくそう)が悪化し、2011年11月に敗血症で死亡したそうです。脊髄損傷の患者の場合、車いすによる生活や寝返りができないことなどから褥瘡(じょくそう)ができ、細菌が侵入して感染症で死亡するケースが多いのですが、同様に労災補償を打ち切る事例が全国で多発しているとされています。
企業倒産、円滑化法終了後も低水準 4月の倒産件数22年ぶり900件割れる
東京商工リサーチが5月10日発表した4月の全国倒産件数(負債額1000万円以上)は、2012年同月比10.4%減の899件と、22年ぶりに900件を割り込みました。中小企業金融円滑化法が3月末で終了しましたが、倒産が低水準で推移しているのは政策効果が持続しているとみられます。
政府は、円滑化法終了後も返済条件の緩和に応じるよう金融機関に要請しているようです。銀行側も「円滑化法終了後も対応は変わらない」としています。長期的な目線で見ると今後は、資金繰り支援を受けた中小企業の経営再建が問題となりそうです。
しかし、負債総額は約3倍増の6859億円にのぼりました。特別清算の開始決定を受けた札幌市の不動産会社の負債が5061億円が押し上げた形となっています。業種別の倒産件件数は10業種のうち5業種で減少しました。建設業や小売業、不動産業などが減り、運輸業や金融・保険業といった業種では増加しています。地域別では、9地域のうち北海道、関東、北陸、近畿、九州の5地区で企業倒産が減っています。
円安の進行に伴って「中小・零細企業を中心に燃料や建築資材の調達費用の増加が幅広い業種に波及することが見込まれるとも指摘されています。
介護離職の経験、男性13%女性は27% 中高年男性の介護離職増加傾向
親の介護のために離職した経験のある中高年が男性で13.4、女性では27.6にも及ぶことが5月12日、公益財団法人・家計経済研究所の調査で分かりました。
40~64歳の男女合計470人を対象に平成23年9~11月の間、調査会社を通じて実施しました。介護を受ける親の平均年齢は82.7歳でした。同研究所は「男性の介護離職は以前に比べ増えているのではないか」と分析しています。未婚者の増加や、頼れる兄弟姉妹が身近にいない人が多いことも一因であるようです。
女性の場合、「嫁の立場の女性を中心に仕事を辞め、介護を担う状況が続いている」と指摘しています。費用に関しては「総費用の6~7割を介護保険でカバーしているものの、介護が家計を圧迫している。働きながら介護する人への手厚い支援が必要」と分析しています。
介護の影響で「自由な時間が減った」と答えた人が離職経験者は86.5%、(回答者全体は71.4%)「(子供など)他の家族に手が回らなくなった」とした人は59.4%(同49.1%)でした。仕事を辞めた経験がある人ほど時間に追われ、ストレスを抱えているようです。在宅介護にかかる自己負担の費用は、1割負担の介護サービス利用料におむつ代など月平均約6万9千円でした。