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2012/06/13 積み立て不足の厚年基金、金融支援を要請/厚労省有識者会議

厚生労働省は2012年6月12日、AIJ投資顧問による年金消失問題を受け、厚生年金基金制度の問題点を話し合う有識者会議を開き、積み立て不足が深刻な厚年基金から意見を聞きました。厚年基金側は、積み立て不足を抱える年金基金に加入する中小企業に対し、政策金融での支援や銀行に貸し渋りをしないように求めました。

 

有識者会議には、繊維業の尾西毛織厚年基金とタクシーの日本交通連合厚年基金が参加し、意見を述べました。尾西毛織は加入者が300人で、受給者が1800人になり、積立金を取り崩して年金を支給している現状を説明しました。「数年で積立金が枯渇してしまう」と窮状を訴えました。

 

日本交通連合は当局が解散をなかなか認めないために、「苦しんでいる基金が多い」と述べました。日本総研の翁百合氏は、「解散できないことが(積み立て不足問題の)ネックになっており、先送りせずに処理していくことが重要だ」と指摘しています。

 

 

「終身雇用」約9割の人が支持

一つの会社に定年まで働き続ける「終身雇用」を支持する人が増え、およそ9割の人が支持するようになっているという調査結果がまとまりました。

 

この調査は、厚生労働省が所管する「労働政策研究・研修機構」が、去年11月から12月にかけて行い、全国の2200人余りが回答しました。それによりますと、終身雇用について「良いと思う」「どちらかと言えば良いと思う」と答えた人は87.5%で、調査を始めた平成11年以降で最も高くなりました。年代別に見ても20代から70代以上までのすべての年代で80%を超えるようになっていて、特に20代では10年前、平成13年の調査より20ポイント以上増えるなど、若い世代で終身雇用を支持する割合が急激に増えています。

 

また、勤続年数とともに給与が増えていく「年功賃金」についても「良いと思う」と「どちらかといえば良いと思う」と答えた人が74.5%で、これも10年前より20ポイント以上増えて過去最高となりました。

 

調査を行った労働政策研究・研修機構の郡司正人主任調査員は「厳しい社会情勢のなか、働くことへの考え方が保守的になっている。転職を重ね、キャリアアップしたいと考えたとしても明るい未来を描けずにいるのではないか」と分析しています。

 

 

政府が若者雇用戦略を決定
府は2012年6月12日、若者の就職を支援する「若者雇用戦略」を正式決定しました。企業と若者のミスマッチ解消や早期離職防止策を明記したほか今年度中に政策効果を検証するための協議会を設置します。ただ、新卒重視の採用や労働者の解雇を規制する日本の雇用慣行の変革には踏み込まず、実効性には疑問の声もあります。

 

若者雇用戦略では中小企業の採用意欲が高いにもかかわらず、学生は大企業志向が強く「雇用のミスマッチが問題」と指摘しました。地域の労使や大学が連携した中小企業での就業体験(インターンシップ)の拡大、大学とハローワークの連携策などを盛り込みました。

 

抜本解決にはつながらないとの声もあります。日本では労働者の地位を守るため解雇を厳しく制限しており「中高年を解雇できない分、経済低迷による労働力調整のしわ寄せは新卒採用抑制という形で若者に集中する」(第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミスト)。中途採用を増やし、解雇規制を見直すなどの対策が必要になります。

 

野田佳彦首相は12日、同戦略をまとめた会合で「現場の第一線の率直な声を今後の運営に生かしてほしい」と述べました。同戦略は今夏にも策定する日本再生戦略に盛り込みます。

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