厚生労働省は、新たに精神障害者の採用を企業に義務づける方針を固めました。障害者の社会進出をさらに促す狙いです。企業に達成が義務づけられている障害者雇用率は、上がることになりそうです。身体障害者に加え、知的障害者の雇用を義務化した1997年以来の対象拡大になります。企業だけでなく、国や地方公共団体などにも義務づける予定です。
今秋から労働政策審議会で議論し、来年にも障害者雇用促進法の改正案を通常国会に提出します。障害者雇用促進法は企業などに、全従業員にしめる障害者の割合を国が定める障害者雇用率以上にするよう義務づけています。障害者の範囲は身体、知的に限られていたが、そううつ病や統合失調症などの精神障害者を加えることになります。
一体改革修正協議 大詰めの調整続く
税と社会保障の一体改革関連法案の3党修正協議が大詰めを迎えています。民主党が社会保障分野で大幅譲歩したことで自民、公明両党との合意に手が届きそうな状況です。
最低保障年金制度の創設など民主党が公約に掲げた政策の扱いが焦点ですが、野田佳彦首相、谷垣禎一自民党総裁が主導し決着を図る予定となっています。難航必至とされた社会保障分野の修正協議ですが、当面の課題についてほぼ合意をみました。民主党は同党が主張する後期高齢者医療制度の廃止を事実上棚上げすることで歩み寄りました。
子育て支援で民主党は幼稚園と保育所の機能を併せ持つ「総合こども園」を創設する方針を撤回しました。現行の「認定こども園」の拡充や文部科学、厚生労働両省の補助金の一本化で調整していますが、子育てに多様な事業体の参入を促す改革の根幹まで後退させることになりそうです。
最も難しいのは年金の将来ビジョン。民主党は最低保障年金制度を棚上げし新たな会議で議論する点までは譲歩しました。これに対し、自民党は同党の「社会保障制度改革基本法案」の受け入れを求めています。