AIJ投資顧問の問題を受け、厚生年金基金の改善策を検討中の厚生労働省の有識者会議が2012年6月19日開かれ、財政再建が厳しい基金については、自主的な解散を選択しやすくすべきだという認識で大筋一致しました。
厚生年金基金は、公的年金である厚生年金の一部も国に代わって運用(代行運用)していますが、株価の低迷で全体の4割が厚生年金の支給に必要な資金(代行部分)が足りない状態(代行割れ)となっています。基金が解散するためには代行部分を国に全額返さねばならず、そのために解散できない基金もあるため、有識者会議は国への返済額を縮小して基金側の負担を軽くする案を打ち出すこととなりました。
精神疾患の労災申請、3年連続最多―厚生労働省調査
過労やいじめによるうつ病などの精神疾患を発症についての労災申請人数が、2011年度は1272人(前年度比91人増)に上り、3年連続で過去最多を更新したことが2012年6月15日、厚生労働省のまとめで分かりました。労災認定も325人(前年度比17人増)で過去最多となります。このうち、東日本大震災が原因の申請は20人を占め、認定者数を増加させる要因となりました。
厚生労働省によると、自殺(未遂含む)による申請者は過去最多の202人でした。認定された325人のうち、発症の原因では「仕事内容・仕事量の変化」(52人)のほか、「悲惨な事故や災害の体験、目撃」(48人)、「嫌がらせ、いじめ、暴行」(40人)などが上位を占めています。
認定者の業種では、製造業(59人)が最多で、卸売・小売業(41人)、医療・福祉(39人)が続きました。年齢別では30代が112人で最多となりました。厚生労働省は労災認定の増加の背景について「うつ病などの精神疾患で労災申請できるという意識が浸透してきた。仕事量の増加による強い不安も影響している」と分析しています。
労災申請を巡っては、うつ病などは発症前1カ月に160時間以上の残業を行っていた場合などを労災と認定しています。脳・心臓疾患は、発症前2~6カ月間にわたり、1月当たり80時間以上の残業をしていた場合などに認定されることとなっています。