来年4月から障害者雇用率が引き上げられる。民間企業、国、地方公共団体など、いずれも現行より0.2%の引き上げとなります。
この結果、「民間企業1.8%→2.0%、国、地方公共団体など2.1%→2.3%、都道府県等の教育委員会2.0%→2.2%」となります。また、今回の法定雇用率の変更に伴い、障害者を1人以上雇用しなければならない事業主の範囲が、「従業員56人以上」から「同50人以上」に変わります。
小宮山洋子厚生労働大臣は「国など公共機関は障害者雇用に率先して取り組む立場にあるため、各府省庁や所管する独立行政法人の障害者雇用にしっかり取り組んでいただきたいと各大臣にお願いした」旨を語るとともに、雇用率の周知徹底を図りたいとしました。
AIJ年金:5年前から自転車操業
AIJ投資顧問(東京都中央区)による年金資産の消失事件で、詐欺容疑で警視庁に逮捕された社長の浅川和彦容疑者(60)らが、公認会計士に依頼して順調に運用益が出ているように見せかけた監査報告書を作って、年金基金側に送る行為を繰り返しており、新規顧客から受け取った資金を運用に回さず、解約する顧客への支払いに充てる「自転車操業」も2007年から始めていたことが、捜査関係者への取材で分かりました。
捜査関係者によると、AIJは14のファンドを運用。このうち特定の一ファンドに利益を集中させ、新規顧客を募集する際、運用が順調なように装っていました。07年7月には、一部のファンドで資産が著しく減少し、解約に応じられない状態に陥りました。
このため浅川容疑者らは、解約されたファンドを新規顧客が購入する、という形で払戻金を捻出。不足する時は、傘下のアイティーエム証券から借り入れることもありました。顧客にはこうした仕組みを説明せず、新規募集のファンドを購入したと錯覚させていました。
09年4月以降は、すべてのファンドで自転車操業が常態化。受託金のほとんどが払戻金に充てられ、運用に回されなくなりました。警視庁は、浅川容疑者らがこうした状態を把握し、資金繰りが行き詰まらないよう、虚偽の運用実績を示すなどして営業活動を続けていたとみています。