厚生労働省は2012年5月29日、AIJ投資顧問による年金消失問題を受けて厚生年金基金制度の問題点を話し合う有識者会議を開きました。厚年基金制度を存続するかどうかや深刻な財政問題の解決方法が議題です。民主党は将来の厚年基金制度の廃止案をまとめ、有識者会議が6月に作る最終報告に反映するよう求めていますが、廃止には慎重な意見が相次ぎました。
民主党案は厚年基金に解散するか、確定給付企業年金や確定拠出企業年金への衣替えを促しており、将来の制度廃止を盛り込んでいます。蟹江宣雄・トヨタ自動車企業年金基金常務理事は「強制廃止で一番被害を受けるのは加入者や受給者で、制度存続に向けた努力を行うべきだ」と主張しました。小野正昭・みずほ年金研究所研究理事も「中小零細企業の年金が減少してしまう」と指摘しています。
一方、花井圭子・連合総合政策局長は「公的年金の一部を国に代わって運用する厚年基金は歴史的な使命を終えており、廃止も検討すべきだ」と訴えました。厚年基金では約4割が国から預かって運用する代行部分で損失が生じています。積み立て不足を解消する方法として、厚労省はOB年金の給付減額基準の緩和を提示しました。永山善二・東京乗用旅客自動車厚年基金常務理事は「過去5年の赤字が給付減額の条件となっているが、銀行取引の関係上、5年間赤字を出すわけにはいかない」と述べ、中小企業の経営実態に合わせた基準に改めるように求めました。
有識者会議は厚年基金の解散基準の緩和、予定利率の見直し、中小の年金が資金を共同運用する案も検討します。
有効求人倍率、4月0.79倍 0.03ポイント上昇
厚生労働省が2012年5月29日朝に発表しました4月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月比0.03ポイント上昇の0.79倍でした。改善は11カ月連続となっています。医療・福祉関連などサービス業の新規求人が増えたほか、東北地方を中心に東日本大震災の復興需要を背景とする雇用情勢の緩やかな改善が続いたためです。
新規求人倍率は0.09ポイント上昇の1.28倍で、雇用の先行指標となる新規求人数は前月比3.6%増の73万人(季節調整値)でした。新規求人は前年同月比では14.2%増え、宿泊業・飲食サービス業(30.5%増)、卸売業・小売業(19.6%増)の伸びが目立ちました。建設業(13.7%増)、医療・福祉(12.1%増)も引き続き増加しました。
都道府県別で有効求人倍率が最も高かったのは福井県と愛知県の1.18倍、最も低かったのは沖縄県の0.38倍でした。震災の被害が大きかった東北3県は、岩手県が前月比0.14ポイント上昇の0.95倍、宮城県が0.09ポイント上昇の1.04倍、福島県が0.10ポイント上昇の0.92倍と、いずれも大幅に改善しました。
民事上の個別労働紛争相談件数、助言・指導申出件数が過去最高
2012年5月29日、厚労省より平成23年度個別労働紛争解決制度施行状況が発表されました。2011年度の民事上の個別労働紛争相談件数は前年度比3.8%増の25万6343件となっており、統計を開始した02年度以降で最高となっています。特にパワーハラスメントなど「いじめ・嫌がらせ」に関する相談件数が増加しています。
【平成23年度の相談、助言・指導、あっせん件数】
・総合労働相談件数 ・・・ 110万9,454件(前年度比 1.8 %減)
・民事上の個別労働紛争相談件数 ・・・ 25万 6,343件(前年度比 3.8%増)
・助言・指導申出件数 ・・・ 9,590件(前年度比 24.7%増)
・あっせん申請受理件数 ・・・ 6,510件(前年度比 1.9%増)
詳細は厚労省報道発表資料でご確認下さい。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002bko3.html