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2014/11/07 英会話講師の自殺、「持ち帰り残業」で労災認定 金沢労基署

 金沢市で2011年に20代の英会話学校講師の女性が自殺したのは、自宅で長時間労働する「持ち帰り残業」が原因だったとして、金沢労働基準監督署が労災認定していたことが分かりました。

遺族の代理人弁護士によると、女性は2011年3月下旬から、岡山市に本社を置くこども向け英会話専門校の金沢校で勤務していましたが、6月4日に金沢市内の自宅マンションから飛び降り、自殺しました。女性は自殺する直前、親族や知人に、上司から「仕事の段取りが悪すぎる」と叱責されていたことや、自宅でレッスン用の教材作成に追われ、短時間しか寝られないつらさをメールや電話で訴えており、遺族が2013年1月に労災認定を申請しました。

女性は一人暮らしだったため、自宅での残業時間数を労基署が推定しました。労基署は残っていたメールや関係者の話から、女性は業務命令で英単語を説明するイラストを描いた「単語カード」を2,000枚以上自宅で作っており、持ち帰り残業があったとしました。残業時間は労基署員が実際にカードを作成して時間を計測し、自宅で月に80時間程度の残業をしていたと結論付け、この結果、会社での残業を合わせると恒常的に月100時間程度の時間外労働があり、さらに上司から怒られる心理的負担も加わり、うつ病を発症していたとして、労災を認定しました。

労基署によると、持ち帰り残業は自宅での作業実態の把握が困難なため、認定されるのは珍しいということです。


長時間労働対策で議論、労働時間上限をめぐり労使対立 政府が創設を目指す新たな労働時間制度を検討する厚生労働省の労働政策審議会の分科会で、5日、長時間労働への対策について議論が交わされ、労働側が「法律で規制すべき」と主張したのに対し、経営側は「労使の話し合いに委ねるべき」として規制に反対し、労働時間に上限を設けるかどうかをめぐり労使委員の意見が対立しました。労働者側は残業を年間750時間までとする上限規制の導入を提案しましたが、使用者側は上限設定そのものに慎重姿勢を表明しました。

政府が創設を目指す新たな労働時間制度では、成果で報酬が決まり残業代が支払われなくなるため、労働組合などから長時間労働を助長すると懸念する声が上がっています。労働組合の委員は「過労死で亡くなる人が毎年200人近くに上るなか、長時間労働を防ぐためには法律の規制が必要だ」と主張しました。そして、残業時間を年間で最大750時間までとする案や、一日の仕事を終えたあと翌日の仕事を始めるまでに一定の休息時間を設ける案を示しました。一方、経済団体の委員は「運送業や建設業などで繁忙期には対応できない企業もあり、一律に規制をかけても問題の解決にはつながらない」などとして、労使の話し合いによって長時間労働を抑制していくべきだという考えを示しました。審議会では今回の議論を踏まえ、年内にも関連する法律の改正に向けた報告書を取りまとめることにしています。

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