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2012/10/23 中小企業金融円滑化法、支援後に倒産倍増184件

 資金繰りに余裕がある間に事業環境が好転せず、抜本的な経営改善が進まなかったために、中小企業金融円滑化法を利用し金融機関から返済負担を軽くするなどの金融支援を受けた後に倒産する企業が急増しています。2012年度上半期(4~9月)の累計は180件超と前年同期の約2倍に増加しました。

 

金融円滑化法は来年3月末で終了予定となっていますが、中小企業は金融支援の後ろ盾を失い、倒産件数が大幅に増える可能性があります。同法を使った支援の大半は地方銀行や信用金庫など地域金融機関が実行しており、不良債権が増加すれば地域経済にも影響を与えかねず、企業再生ファンドの設立など終了後を見据えた対策の整備が急務となりそうです。

 

信用調査会社の帝国データバンクによると、金融円滑化法の利用後に倒産した件数は、2010年度上半期が8件でしたが、2011年度上半期は90件、2012年度上半期は184件と急増しています。金融円滑化法に基づき支援を受けるには、金融機関に半年や一年を期間とする経営改善計画を提出しなければなりませんが、長引くデフレで再建が進まず「支援の延長を打ち切られるケースが相次いでいる」(帝国データバンク)とのことです。融資先に中小企業を多く抱える地方の金融機関は、もし金融円滑化法が予定通り終了すれば「金融庁の検査が厳しくなり、不良債権化しかねない」(地方銀行関係者)との懸念を強めています。

 

金融円滑化法を利用した中小企業は30万~40万社に上り、返済猶予額は今年3月末までの累計で約80兆円となっています。内閣府・金融庁などは、自治体や地域金融機関が主導する企業再生ファンドの設立を促し、法律が終了した後も支援を継続させたい考えですが、地方経済が低迷する中、ファンドに十分な資金が集まるか疑問視する声もあります。

 

中小企業金融円滑化法とは、中小企業や住宅ローンの借り手から返済猶予などを要請された場合、金融機関に貸し渋りをしないように、貸し出し条件の変更に応じるよう努力義務を課した法律です。リーマン・ショックなどによる資金繰り悪化を受け、2009年12月に当時の亀井静香金融担当相の肝いりで施行されました。時限立法で、当初は11年3月末で終了予定でしたが、中小企業の業況が厳しいため、13年3月末まで延長されています。

 

 

生活保護、「適正な運用必要」を確認―財政審分科会

2012年10月22日、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は「財政について聴く会」(財政制度分科会)を開き、生活保護や年金などの社会保障予算を議論しました。生活保護は受けるべき人がきちんと受給資格を得て適切にもらえるようにすべきだ、との認識を共有する内容となりました。

 

適正運用が必要な現状を示す一例として、生活保護の利用状況が大阪府が最も多く、富山県が全国で一番低いといった都道府県でばらつきがある点を議論し、給付の適正化を進める必要があることで認識を共有しました。デフレで所得が下がる実体経済の状況を給付水準に反映できていないといった点も議論され、2013年度から物価下落に見合った引き下げが必要との見解で一致しました。11月末に財務相に提出する答申に盛り込まれ、来年度予算編成の焦点の一つになる見通しです。

 

併せて議論のテーマになった防衛関係費は国の歳出を71兆円におさめる中で縮小すべき予算、との考えが示され、装備品の高性能化でコストを削減するなどの論点も話し合われました。

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