ホーム > トピックス(バックナンバー12) > 2012/07/26 12年度最低賃金引き上げ、平均7円

2012/07/26 12年度最低賃金引き上げ、平均7円

厚生労働相の諮問機関である中央最低賃金審議会の小委員会は25日、2012年度の地域別最低賃金の引き上げ幅の「目安」をまとめました。厚労省の試算では、時給で示す最低賃金の全国平均は前年度比7円増の744円に上昇しますが、上げ幅は東日本大震災の影響を受けた11年度並みの低水準。最低賃金での収入が生活保護の支給水準を下回る「逆転」現象は、少なくとも北海道と宮城県で残る見通しです。協議では労使の思惑の違いもはっきりと表れ、逆転現象解消の難しさが浮き彫りになりました。

11年度は震災の影響で7円増と上昇幅が5年ぶりに10円を割り込みました。12年度は景気に持ち直しの動きがあるものの、依然厳しい中小企業の経営状況などに配慮し、引き上げ幅が前年度並みになったとみられます。

最低賃金が生活保護を下回る「逆転」は現在、東京都など11都道府県で発生。議論の末、中間的立場にある公益委員が取りまとめる形で、逆転している11都道府県について「原則2年以内の解消を目指す」方向を確認。東京都や大阪府などについては「すみやかに解消を図る」、北海道と宮城県については「更に1年を加えた年数(3年)を踏まえる」とし、期限の「縛り」が緩やかになりました。実際の解消時期は地域の審議会に委ねられたといえます。

そうした結果を反映し、11都道府県の目安額も前年度のようにきっちりした数値ではなく幅ができました。9都府県では、その「上限」の額が引き上げられてようやく生活保護水準に届く設定となり、残る北海道と宮城県はなお逆転が解消されない額にとどまりました。

同審議会は26日、厚労相に目安を答申。その後、各都道府県の労使代表らが審議会を開き、目安を踏まえて地域ごとの最低賃金額を決めます。実際の改定は10月ごろ実施される見通しです。


OBの企業年金減額しやすく AIJ対策で厚労省が見直し案

厚生労働省は25日、AIJ投資顧問による年金消失問題を受けた企業年金の財務改善策を公表しました。企業が退職した元会社員(OB)に支払っている企業年金を減額する際に「母体企業の経営悪化」が必須条件ではないことを明確にして、黒字企業でも減額を申請しやすくします。減額時に希望者に支払う一時金も新たに2つの算定基準を追加し、引き下げを可能にします。国民からの意見募集を経て、8月中に通知を改正します。

厚労省が民主党厚労部門会議で報告しました。AIJ事件で露呈した企業年金の財政悪化を食い止めるのが狙いで、企業年金と公的年金の一部を一体運用する厚生年金基金や、大企業の確定給付企業年金に適用されます。

OB年金の減額には全受給者の3分の2以上の同意が必要。その上で「経営状況の著しい悪化」か「掛け金が大幅に上昇し、将来負担が困難になる」場合に減額を申請できます。ただ「経営悪化」を必須条件と考えている企業が多いため、どちらかの要件を満たせばいいことを明確にすることにしました。

OB年金を減額する際に、企業は希望するOBに対し、減額前の年金額に当たる一時金を一括して支払いますが、企業とOBの同意を条件に一時金の金額を引き下げやすくすることも認めるとしています。このほか、厚年基金などが運用利回りの目標(予定利率)を引き下げる場合に、母体企業が積み立て不足分を穴埋めする期間を現在の最大20年から30年に延長し、穴埋めにかかる1年ごとの負担を軽くします。

ページ上部へ