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2012/07/19 厚生年金基金の積立金が1・1兆円不足

 2012年3月末時点で、全国に576ある厚生年金基金の積立金不足額が計1兆1100億円に達し、1年前より4800億円増加したことが18日、厚生労働省の11年度決算(速報値)調査で分かりました。AIJ投資顧問の年金資産消失事件で被害を受けた81基金の不足額は計3千億円。

AIJ事件を機に、公的年金制度への信頼を揺るがさないために厚年基金制度の廃止を求める声も強まっており、多額の積立金不足はこれに拍車を掛けそうです。不足は、企業年金の一種の厚年基金が公的年金である厚生年金の一部を国から預かって運用している「代行部分」で生じました。厚年基金全体の10年度の積立金不足は約6300億円でした。このうちAIJ事件で被害を受けた81基金については、損失が確定したとして計上。このため10年度で1100億円だった積立金不足額が、1年間で1900億円増えました。

厚労省は、調査結果を19日の民主党「財務金融部門・AIJ問題検証ワーキングチーム合同会議」に示し、月内に基金に対して今後の対応を指示するとしています。

調査によると、全厚年基金576のうち、公的年金の支給に必要な積立金が不足している「代行割れ」は約半数の286基金に上り、前年の36%から大幅に増えました。厚労省が財政健全化を重点指導する「指定基金」は、前年から19基金増加し、100に上る見込みです。AIJ被害基金81の中の「代行割れ」は62基金で、指定基金は31基金となる見通しです。

調査は速報値で、全基金576のうち、18日までに報告があった572の基金の状況を集計しました。調査結果について、厚生労働省は、AIJ投資顧問に資金運用を委託していた基金の多くが積立不足に陥ったことや市場運用環境の悪化などが主な原因ではないかとみています。基金そのものを無くす検討時期にきているのではないでしょうか。


後期医療制度廃止法案、提出先送り

野田佳彦首相は18日の参院消費増税関連特別委員会で、後期高齢者医療制度を廃止する法案について「社会保障・税一体改革関連法案が成立すれば、(廃止法案の今国会提出を定めた)閣議決定の効力は消える」と述べました。後期医療廃止法案の提出時期の先送りを認めたものといえます。

民主党は、年齢による区分や「後期高齢者」という名称を批判し、2009年衆院選の政権公約に制度の廃止を明記。政府が2月に閣議決定した社会保障・税一体改革大綱では、廃止法案を「今国会に提出する」としていました。

しかし、財政負担が膨れあがることを警戒する都道府県の同意が得られず、法案化作業は難航。一体改革関連法案を巡る民主、自民、公明3党の修正協議の結果、今後の年金制度や高齢者医療制度は新設する「社会保障制度改革国民会議」での議論に委ねることになりました。

岡田克也副総理は、この日の答弁で「国民会議で議論されている限り(後期医療廃止)法案を出すことにはならない」という考えを示しています。

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