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2012/10/01 厚生年金基金 廃止に向け課題山積

   厚生労働省は、国に代わって公的年金の保険料の一部を運用する厚生年金基金の制度を将来的に廃止する方針ですが、1兆円を超える積立金の不足分をどうやって穴埋めするかなど、廃止に向けて課題は山積しています。

 主に中小企業の企業年金を扱う厚生年金基金は、運用益を上げるため、公的年金である厚生年金の保険料の一部も国に代わって運用していますが、経済情勢の悪化によって、半数の基金で公的年金の支給に必要な積立金が不足しており、不足額の総額は1兆1000億円にのぼっています。こうしたなか厚生労働省は、9月28日、この問題を巡る対策本部を開き、財政状況の改善は見込めないとして、厚生年金基金の制度を将来的に廃止する方針を決めました。ただ基金を廃止するには、1兆円を超える積み立て不足を穴埋めしなければならず、企業側で穴埋めできない部分は、厚生年金の保険料を使うことになりますが、一部の基金の損失処理を厚生年金全体で負担するのは不公平だという指摘が出ています。
 
また基金を廃止する前に、ほかの企業年金の制度に移行するよう促すことにしていますが、中小企業が単独で企業年金を維持するのは難しいという指摘があり、基金に代わる中小企業の企業年金をどう確保するかも課題です。厚生労働省は、厚生年金基金を廃止するための改革試案を10月中にまとめることにしていますが、廃止に向けて課題は山積しています。
 
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002kpls-att/2r9852000002kv6o.pdf


雇用調整助成金など 支給条件見直し
業績が悪化しても従業員を雇用し続ける事業所に支給されている助成金について、厚生労働省は景気が持ち直しているとして、来月1日から、緩和していた支給の条件を厳しくし、リーマンショックの前とほぼ同じ水準に戻すことになりました。

 支給の条件が見直されるのは、厚生労働省が所管する「雇用調整助成金」と、「中小企業緊急雇用安定助成金」です。2つの助成金は、景気の低迷で売り上げや生産量が減少しても従業員を解雇せず、休業や出向させて雇用を維持する事業所に対し、国が賃金や手当の一部を助成しています。厚生労働省は、4年前のリーマンショック以降、雇用環境が急激に悪化したことから支給の条件を大幅に緩和し、3年前のピーク時には1か月に253万人分の申請がありました。その後、申請は減少傾向になり、先月は61万人分に減ったことから、厚生労働省は景気が持ち直しているとして、来月1日から、緩和していた支給の条件をリーマンショックの前とほぼ同じ水準に戻すことになりました。これまでの条件では、直近3か月間の売上高や生産高が、前の年の同じ時期などに比べて「5%以上減少」としていましたが、見直し後は「10%以上減少」と厳しくなります。一方、東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島の3つの県については、支給の条件の見直しを半年間、延期することにしています。

 見直すのは(1)生産量(売上高)要件(2)支給限度日数(3)教育訓練費(事業所内訓練)の3項目。
(1)は現行、「最近3か月の生産量または売上高が、その直前の3か月または前年同期と比べ5%以上減少」を「(中略)10%以上減少」に変更するほか、中小企業事業主で直近の経常損益が赤字なら、「5%未満の減少」でも助成対象としていたものを撤廃します。

(2)は「3年間で300日」を「1年間で100日」に変更。さらに来年10月1日からは「1年間で100日・3年間で150日」とします。

(3)は「雇用調整助成金の場合2000円、中小企業緊急雇用安定助成金3000円」をそれぞれ「1000円」「1500円」に引き下げます。

  厚労省によれば支給要件の見直しは、2013年4月1日から第2弾を実施。「助成率」の引き下げや「上乗せ」要件廃止のほか、事業所外訓練の教育訓練費も半額になるといいます。
 
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/dl/shikyu_02.pdf

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