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2012/08/28 大卒者の4人に1人が「安定雇用なし」/文部科学省調査

 2012年8月27日、文部科学省の学校基本調査速報で今春大学を卒業した人のうち、8万6千人が就職も進学もせず、アルバイトや契約社員などの非正規労働者も含めると、大卒者全体のほぼ4人に1人にあたる12万8千人が安定的な仕事に就けていないことが分かり、若者の雇用環境の厳しさを裏付けました。

 大卒者は昨年比1.2%増の55万9千人で、就職者は35万7千人となっており、就職率は63.9%で2.3ポイント増えました。2年連続の改善となります。文部科学省は、大企業志向が強かった学生が中小企業に目を向けたほか、大学とハローワークが連携して未内定者を集中支援した成果とみています。大学院修了者の就職率は修士が昨年比0.6ポイント増の73.2%、博士が3.3ポイント増の67.2%で、高卒者の就職率は0.5ポイント増の16.8%でした。
 
就職者に占める契約や派遣など非正規社員の数を調べたところ、就職者の6.2%にあたる2万2千人で、正社員を希望しながら非正規労働を余儀なくされた人も多いとみられています。また、就職も進学もせず無職となった8万6千人の現状も初調査したところ、「就職準備中」が57.1%、「進学準備中」が4.2%、「その他」が38.8%で、将来計画が定まっていない人が多いことがうかがわれます。
 
文部科学省ホームページ:学校基本調査-平成24年度(速報)結果の概要-(生涯学習政策局調査企画課)
 http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/24/08/attach/1324865.htm


アスベスト:元准看護師、石綿労災認定−山口労基署

勤務していた産婦人科医院で作業中に扱った粉末「タルク」に混入したアスベスト(石綿)が原因で中皮腫になったとして、山口労働基準監督署で先月に労災認定された山口県防府市の元准看護師、河村三枝(みつえ)さん(52歳)が2012年8月27日、大阪市内で記者会見し、「同じような作業をした医療従事者に私の経験を広く知らせたい。医療現場にもアスベストのリスクがある」と訴えました。
 
河村さんは手術用ゴム手袋の再利用について、安全なもので代用し、粉末「タルク」をまぶす様子を再現。多数のゴム手袋が入った袋にまぶすと、白い粉が飛び散って浮遊しました。「当時はマスクもせずに作業をしていた。悪いものを扱っているという認識はなかった」と振り返り「私の認定をきっかけに多くの人がアスベストや中皮腫に関心をもって早く被害に気づき、新たな労災認定につながればうれしい」と話しました。
 
河村さんは2009年12月に転職のために受けた健康診断で、中皮腫と診断されました。石綿との接点が不明でしたが、「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」の古川和子会長が調査した結果、河村さんが1981年から1986年まで約5年勤務した産婦人科医院で、医師や助産師らの手術用手袋を洗って乾燥させた後、袋の中に入れてタルクをまぶす作業に従事しており、1週間に1、2回ある作業の際にタルクに混入していた石綿を吸い込んだとみられています。河村さんは2011年8月に労災を申請しました。タルクは白色の石で、細かく砕き粉にしたものは医療現場のほか、工業製品の製造やベビーパウダーなどにも使用されていましたが、石そのものについてアスベストが混入が発覚し、2006年以降はアスベスト含有量0.1%超のタルクは製造や使用が禁止されました。
 
大阪府内の外科医によると、約20年前まで多くの外科系の医療現場では、手術用手袋を洗浄した後にゴムの癒着防止などのためにタルクをまぶして再利用していたとのことで、現在は手袋を再利用していないとのことです。タルクが原因とみられる石綿関連疾患による労災認定は、ゴム製品製造の従事者や歯科技工士など全国で約15例あります。

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