ホーム > トピックス(バックナンバー13) > 2012/08/17 失業者の住宅手当、恒久化検討/厚労省、再就職支援

2012/08/17 失業者の住宅手当、恒久化検討/厚労省、再就職支援

 厚生労働省は2012年8月16日、派遣切りなどで仕事や住まいを失った人に家賃を補助する住宅手当制度を、2015年度から恒久化する方向で検討に入りました。最長9カ月の手当支給期間中に再就職先を見つける人が多く、増加する生活保護費の抑制も期待できるためです。
 
 同制度はリーマン・ショック後の雇用情勢悪化を受け、緊急対策として09年10月に開始しています。設置した基金から経費を出していましたが、12年度末にも財源が枯渇する見通しです。このため厚労省は基金方式から法律に基づく恒久制度に切り替え、国の予算で経費を手当てしたい考えです。
 
 厚労省は、取りあえず13、14年度は基金制度のまま必要な経費を予算計上して延長することなどを検討しています。15年度から手当を恒久化するため、今秋にまとめる「生活支援戦略」で、方針の明記を目指します。住宅手当は失業して住まいを失ったか、失う可能性のある人が対象です。東京23区の単身世帯では月5万3700円を上限に支給されます。ハローワークに通って職探しをしていることに加え、世帯収入や預貯金額に条件があります。失業手当を受けている場合でも、収入などの条件を満たせば住宅手当をもらえます。
 
 厚労省によると、ことし5月までの受給者は延べ約8万5千人で、支給総額は200億円です。うち6カ月以上か、正社員のように期限がない雇用契約を結んで再就職した人は約3万2千人で、受給者の38・0%に達しています。年度別では11年度54・5%、12年度(4~5月分)52・9%と、近年は5割を超える人の安定した就職につながっています。


企業年金、株から債券へ

日立製作所やNTTなど主要企業の年金が、株式での運用を減らす一方で債券などへの配分を増やしています。将来の給付に必要な資産が不足するなか、価格変動リスクを避ける狙いです。運用不振が財務悪化に直結するよう企業会計基準が変更されることも背景にあります。ただ必要とする利回りに届かない状態が続くようなら、企業の負担拡大や給付削減などにつながる可能性も十分に考えられます。

 一例を挙げると、日立は2012年3月期に、約1兆3000億円の年金資産に占める株式の割合を1年前の9%から7%に下げ、日本国債など公債を9%から12%に高めました。
 ただ、歴史的な低金利下で国債などを増やすと高い利回りでは期待できません。企業は追加の資金拠出などを迫られる可能性も十分に考えられます。多くの企業が見込む2~3%の利回り確保が難しくなってきています。

 上場企業の前期末の年金資産は、現時点で積み立てておくべき額を約9兆6000億円下回っているのが現状です。上場企業の約4割で不足額が増えました。安全重視の運用でもこうした状況に歯止めがかからなけば、給付の削減などにつながる可能性も考えられます。

ページ上部へ